烈火青春 (画像はこちら)
ネタばれ注意!!(ルイ=レスリー)
この映画を見た時ほど、 「日本人じゃなかったら良かった‥」 と思った事はありません。 だって‥だって、せっかくの良い映画が‥ すっかりギャグ映画!! あんな日本人がドコにいるんだよ〜! まるで座敷童子のような髪型で、 浴衣なんだか着物なんだか分からん服を着て、 「セップクッ(切腹)」とか「カイシャクッ(介錯)」とか叫びながら、 刀を振り回す女‥。 もう腹がよじれる程、大笑いしましたよ(涙) たくさんの賞を取った名作だってのに。 あぁ‥私がアメリカ人だったら、素直に感動出来ただろうに。 こんな調子で、私も、 いろいろ中国の事を誤解してるんだろうなぁ。 しかし‥はぁ‥面白かった(溜息) ☆ さて、2回目、見てみました。 とりあえず笑いも収まり、やっとこの映画を冷静に見ての感想。 ☆ 『チャイニーズゴーストストーリー』に引き続き、 やっぱり面倒見てもらいっぱなしの、 庇護欲を掻き立てまくりのレスリーが見ものです。 少女のようなトマトでさえ、彼の前でだと まるで母親のように‥。 自分からヒョイヒョイと、彼女の腕の中に抱かれにいく男、ルイ。 くぅ〜可愛い!! キスも、母子の『おやすみのチュー』みたい。 女性を求めると言うより、母性を求めていると言うか。 あんなにも経済面で恵まれているルイなのに 彼にはなぜかいつも孤独の影が差してるんですよね。 それがトマトによって満たされる‥幸せそうなルイが とっても可愛らしい!!
冒頭から、幻惑的な音楽、けだるい雰囲気をかもし出す映像。 その中で寝転がっているルイ。 彼のゆったりとした動きが、 外界から遮断された、曖昧な空気を演出してこの映画は始まり、 次の続くのは、かしましい女の子達の歓声。 発散すべき場所を持たない、鬱屈した若さと、 弾けるような若さの対比が描かれています。 当然前者のが不健全なのですが、ルイは悲しいかな、 前者の、若さを持て余した青年なのです。 お金があっても、決して幸せにはなれないのねー‥。 お金は若者を根暗にするのかしら(涙) (だってこの時代にシンナー吸ってるなんて‥暗すぎる:涙) ☆ したたかで大人びたキャシー、無邪気で天真爛漫なトマト、 毎日『素敵な事』が起こるのを、ただ待っているルイ、 傲慢とさえ取れる、『若さ』で全てが回っているトム。 (いつも太ももまで見える短パン履いてるしね:笑) この作品は、『若さ』が詰まって溢れていて、 思わずそれにむせてしまうような作品です。 世間から隔絶した世界、時間は意味もなく流れ、 うだるような、汗ばむような、けだるさ溢れる毎日。 梢を揺らす風、照らす太陽、打ち寄せる波さえも、 全ては彼らのもののような錯覚を覚えます。 そして彼らの時間は、まるで無限のように‥。
一度でいいから、こんな時間を過してみたいなぁ。 気の許せる仲間だけで、何不自由なく、 何者にも縛られない時間と空間。 空にある太陽ですら、射抜く事が出来る。
しかしそのバックには、常にもの悲しい音楽が流れていて、 それはやがて訪れる、悲劇の前触れを予感させます。 いずれは必ず沈む太陽、そして闇が支配する夜が 彼らを包み込む‥。
彼らの奔放な生活を見ていて、 私が感じたのは強烈な「死」でした。 あんなにも活き活きと、 世界を手中に収めたように振舞う彼らを見て、 なぜそう感じたのか。 まるで楽園のような、この世ではない空間にいる彼らは 現実を生きている私から見て、儚く見えたのかも知れません。 ルイを経済面で援助しているはずの両親は微塵も出てくる事なく、 秩序ない世界は、子供達だけの世界でした。 幼く無防備な彼らは、 突然現れた敵に対し、自分の身を守る術を持ちませんでした。 そんな中、それでも強かったのは、 おそらくこれから母になるのであろう、トマト。 ルイと自分の身を守るため、彼女は勇敢にも戦う。 最後、矢を放った時の彼女は、女神さながらに輝いてみえました。
幸せな夢は終わってしまった‥。 膨らみすぎた風船が割れるように、 パチンと音を立て、弾けて消えた。 その何と脆い事か‥。 その『儚さ』こそが、『若さ』なんだと 見終わった後、しみじみと思いました。 ☆ この映画は不思議なまでに、 一般的に『タブー』とされている世界に踏み込んでいます。 まず、全体的に同性愛が散りばめられている点。 ふざけて無理やりルイにキスするトム。 そのあともトムに投げキスを寄越すルイ。 同性の頬に自然と唇を寄せる女の子。 同性にしか興味がないデザイナー。
またセックスだけの繋がりを持つ、キャシーとトムの関係や、 キャシーの二股も、ごく当たり前のように描かれています。 4人の男女が裸になり、入り乱れ絡まって野外で眠るシーンや 今では大して珍しくも無くなった、 『オタクっぽいキャラ』の『ストーカー』も登場します。 どれもこの時代では、斬新な題材だと思うのですが それが普通に描かれていて、とても好感が持てます。
なーのーに、刀を振り回す、時代錯誤な女の人が出てくるあたり‥ 新しいんだか古いんだか(苦笑) ☆ ベッドシーンも今と違い、雰囲気重視でありながら 官能的なものに仕上がっています。 肌の感触までもが伝わってくるような表現はさすが。
あんまり関係ない話
何て言うのか‥胸がない女性が多いですよね‥。 最初、水着を着たキャシーを見た時 「‥レスリングの選手じゃないんだから」 と思ってしまいました。 あとノーブラな人が多い。流行ってたのかしら??
この映画が撮影されたのは、「ウーマンリブ」の頃で、 あの頃は男性に媚びる、そして、 自分の体を締め付けるブラジャーは しない方がカッコ良かったのだそうです。 その為、アメリカの、ヒッピームーブメントの後の映画には、 ノーブラの女性の方が多いそうです。 教えてくださったゆきんこサマ、 ありがとうございました。 ☆ ケンが抱えて持ってきた、アレは何だったんでしょう? ルイは突っついたり撫でたりしていますが‥。 トマト的には辛かったのかな?? つーか食べ物なの?アレ。 ☆ 日本語を練習しているシーンがありますが、 あの頃、日本に憧れる人が多かったんですかねぇ? トマトまで話せてるし‥。 でもルイは話せない(笑)ぼっちゃん、国際人を目指せ! 「凄い日本通」なんだろ?? あの可愛らしさが万国共通だからいいのかしら(笑)
☆ 字幕が無い為、内容が把握しにくい場面もありますが、 全体的にセリフで表現と言うより、 雰囲気で表現している部分が多いので、 それほど困らないと思います。 マジ、お薦めですよ、この映画! レスリー演じるルイは、口数の少ない役だったせいか、 ちょっとした表情による演技が冴えています★ また、金持ちのボンボンらしい振る舞いが全然不自然じゃなくて とってもハマり役★ こればっかりは生まれ持ったもの、育つにつれ 自然と身につくものだと思うので 演技力と共に、恵まれた才能(もの)を持ってるなぁと思わされました。
この作品、どうして日本で公開されなかったのかなぁ。 良い映画なのに‥やっぱり「セップク」とかのせいかしら(涙) そういえばこの映画、最近また、新しく作られたみたいです。 そっちも見てみたいかな〜でもイメージ狂っちゃうかな?
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