さらば、わが愛 (覇王別姫) 1 ←ネタバレ注意。

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ストーリー

北洋軍閥時代。

一人の娼婦が子供を抱き、京劇一座の門をくぐる。

「あとはどうしようと、あなた方の勝手です」

子供本人の目の前で、そう言って媚びる母親。

指が1本多い事を理由に断れると、

母は自ら、刃物をもってそれを切断する。

泣き叫ぶ子供の声が胸に突き刺さる。

決して子供が可愛くないわけじゃない、憎いわけじゃない。

道端で筵に包まれ、冷たくなった足が写る。

貧しさゆえ、母は身を売り、育てられなくなった子を、

厳しい修行を架せられると分かっている一座に置き去りにする。

一座は、みんな似たような境遇で集まった子ばかりだ。

その中で、有名な役者になる為、

日々、まさに血の滲むような努力をしている。

そんな場所で、その子供‥小豆は、母に代わる保護者、

自分を庇ってくれる兄、石頭を慕い始める。

それは当然の成り行きだった。

小豆は女形として育てられ、

劇団員としてデビューした屋敷では、そこの主に乱暴される。

しかし座長にまで「運命に逆らうな」と言われ、諦める小豆。

その帰り道、捨てられている赤子を拾う。

やがて時は経ち、小豆は程蝶衣、石頭は段小樓と名乗るようになり、

2人は人気のある、京劇俳優にのし上がる。

次第に、芝居と現実の区別がつかなくていく蝶衣。

青年となった2人だが、蝶衣の小樓への愛は、移ろうどころか、増す一方だ。

「死ぬまで一緒に歌い続けよう」

「一年、一月、一日、一秒、離れていたくない」

堰を切ったように、涙ながらにすがって訴える蝶衣。

これこそが彼の只1つの望み。

しかし小樓にはそれが分からない。

自分が蝶衣の愛の対象になっているのを知っていながら、

小樓は、遊女「菊仙」の元に通う。

そして彼女との結婚。

その日、初めて蝶衣は、自分の意志でユアン卿の元に行き、

心にもない関係を結んでしまう。

その屋敷で、長年探し求めていた、小樓との思い出の刀を見つける。

その刀を初めて手にした時、石頭はこう言っていた。

「こんな刀があれば、楚王は漢王を殺し、お前を妃に据えたのに」

ユアン卿の家からの帰り、婚約で盛り上がっている小樓の家に寄り、

最後の鍵として、思い出の刀を渡す。

しかし小樓は何も思い出さない。

石頭の言った言葉は、蝶衣の中だけで、疼き続ける。

蝶衣は絶望し、もう同じ舞台には立たないと、決別を宣言した。

奇しくも時代は、激しい勢いでうねり、流れて、2人を飲み込もうとしていた。

日本軍が中国を侵略し、町には日の丸が翻る。

そんな中でも、艶やかに踊ってみせる蝶衣。

その舞を日本軍にも気に入られ、

捕らわれた小樓を助ける代わりに、

招待された座敷でも舞うように要請される。

しかしそうして出獄させた小樓に、

「裏切り者」とばかりに、唾を吐きかけられてしまう。

ショックを受ける蝶衣。

そんな彼をよそに、小樓は菊仙と結婚してしまう。

自棄を起こした蝶衣は、またユアン卿の屋敷に訪れ、

愛のない関係を、さらに深めた。

菊仙は小樓に、

「普通の人間らしい暮らしをしましょう」と、

芝居を捨てるように言う。

その言葉のまま、京劇界から去る小樓。

蝶衣はその事実に耐え切れず、アヘンに逃げる。

しかし小樓は、芝居なしには生きていけない男だった。

毎日ただ、虫の世話だけをして明け暮らし、菊仙を困らせる。

そんな時、彼らに京劇を教え込んだ師匠から、2人は呼び出しを受ける。

その場に菊仙も現れ、自分が妊娠している事を告げる。驚く二人。

師匠に昔同様殴られ、2人はまた、一緒に京劇を始めたのだった。

日本が戦争に負け、蒋介石が率いる国民党が町を支配する。

そんな中、師匠が亡くなり、

2人は、昔拾った赤子、小四と再会する。

役者になりたがっている彼を、蝶衣が引き取り、育てる。

そんな時、国民党が劇場に押しかけ、喧嘩が起こる。

小樓が止めに入るが、それだけでは到底収まらず、

蝶衣を庇って、団員全員が喧嘩に巻き込まれる。

その騒ぎの中に、臨月間近の菊仙も飛び出していき、流産してしまう。

国民党は蝶衣に、日本軍の前で舞った事を責め寄り、

「国売奴」と、彼を法廷に狩り出す。

流産した菊仙は、子供を失った原因は蝶衣だと決め付け、

小樓に「蝶衣とは縁を切って欲しい」と頼む。

しかし、ひとまず蝶衣を無罪にする為に、2人はユアン卿に助けを求める。

しかし小樓からの、絶縁を告げる手紙を読んだ蝶衣は、

無罪を主張せず、自分を殺せと喚く。

判定は保留、仮釈放となるが、蝶衣はますますアヘンに溺れていく。

そして小樓は、舞台を再び去る。

しかしそんな彼らを、周囲の人間は放っておかない。

数年経ち、また2人は舞台に立つ事になる。

アヘンを断つ為、小樓と菊仙が甲斐甲斐しく世話を焼き、

蝶衣は、ようやくアヘンから抜け出す。

しかし今度は小四が、新たな支配思想、共産党にハマり、

蝶衣との間に亀裂が入り出す。

小四が打ち出す、新しい現代劇に賛成しかねる蝶衣。

そんな蝶衣を恨み、京劇そのものを改革しようとする小四。

虞姫の役も奪われ、蝶衣は芝居を辞めてしまう。

それからさらに数年経ち、文化大革命が始まる。

その中で、京劇界そのものが弾圧される。

糾弾された小樓が、民衆の前で蝶衣の犯した罪を暴き、

その言葉に傷ついた蝶衣が小樓をなじり、

菊仙がもと遊女であった事を暴露する。

共産党員に、菊仙を愛しているのかと問いただされた小樓は、

その場の雰囲気に飲まれ、「彼女など愛していない」と答えてしまう。

その言葉に愕然とした菊仙は、自宅で首を吊る。

そして11年後。

蝶衣と小樓は、人気のない舞台で、稽古をしている。

「年を取ったな」と、声が続かない小樓の視線の先には、

容貌の衰えを、全く感じさせない蝶衣がいた。

愛しげに小樓を見つめ、微笑む蝶衣。

そんな蝶衣に向かって、小樓は懐かしいセリフを紡ぐ。

「私は男、女ではない」

幼い頃と同じ間違いをしてしまう蝶衣。

そしてその言葉に少し考え込む。

しかしまたすぐに優しい微笑みを浮かべ、稽古の続きを急かす蝶衣。

小樓が背を向けた瞬間、蝶衣は、彼の差している刀を引き抜く。

そしてその剣で、自らの喉を突き、倒れる。

小樓は驚いて振り返り、もう誰も聞いていない、蝶衣の名を叫ぶ。

そして最後に「小豆」と‥。




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