欲望の翼(ネタばれ注意!)

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ストーリー


「この1分を忘れない」


か細い女性が一人いる、寂しげなサッカー場の売店に、

毎日やってくる男、ヨディ(レスリー・チャン)。

最初はただの客の一人だったのに

「夢で会おう」とか「キミとは1分の友達だ」など、

巧みな言葉の駆け引きで、次第にスーを虜にしていく。

不敵な笑み、駆け引きを楽しむ余裕‥。

彼女は拒絶しようとしても、心に滑り込んでくるヨディを拒みきれない。


「1960年、4月16日、3時1分前、キミはオレといた」


少しずつスーの心に侵食してくるヨディ

やがて1分の友達から2分の友達、

そして夜を共にするまでの関係になっていく。

しかし結婚を望むスーと、気楽な関係を望むヨディの仲は、

すぐに破局を迎え、スーは去る。


「脚のない鳥がいるそうだ。ただ飛び続けて‥疲れたら風に乗って眠る。

地上に降りるのは‥死ぬ時だけだ」


ヨディには2人の母がいる。

一人は、昔ホステスをしていた派手な養母。

もう一人は、存在しか知らされていない実母。

養母を泣かせる男には容赦ないヨディ

そんな中、踊り子のミミ(カリーナ・ラウ)と出会う。

明るく奔放、そして気の強い彼女も、

優しい言葉の裏に潜む、ヨディの魅力にひかれてしまう。

しかしそんなミミにも執着を持たないヨディ。

それがミミにはもどかしい。


「一緒に不幸になろう」


恋人を殴りつけた事を、養母にキツく責められるヨディ。

ヨディは逆に、実母の事を隠している事を責め立てる。

しかし養母は秘密を明かさない。ふてくされるヨディ。


「死ぬまでこんな調子さ」


雨の日。

ヨディの家に、警察官のタイド(アンディ・ラウ)が

「お知りあいの女性が下にきています」と訪ねてくる。

アパートの下にいたのは、ヨディの元を去ったスーだった。

「何しにきた」と、スーの髪を優しくすきながら、ヨディはたずねる。

俯いたまま「荷物を取りに」とだけ答えるスー。

2人きりになり「今でも好きよ」と、スーは心中を告白する。

しかしヨディは「オレはキミにふさわしい男じゃない」としか答えない

それでも「一緒にいたいだけ」と言うスーに、

「今はともかく‥いずれ必ずオレが嫌いになる。不幸になるぞ」と

苦しげに押しつぶやく。

「私を愛した事ある?」と聞かれても

「誰を愛したかなんて忘れたよ。死ぬまでこんな調子さ」

とはぐらかし、部屋へと向かう。

「誰かいるの」という問いにも、ヨディは後ろめたそうに答えないまま‥。

2人の会話を盗み聞きしていたミミは、

やりきれない想いにかられ、そのまま部屋に急いで戻る。

部屋でスーの私物を集めていたヨディは、

ミミの履いていたスリッパも脱げというが、

ミミはやきもちを嫉いて、抵抗する。

そこにスーが入ってきて、気まずい沈黙が漂う。

スーは何も言わずに出ていく。

ヨディはミミに当たり、ミミは「もう帰る」と喚き散らすが、

引きとめもしないヨディからは、結局離れられない。

自分の気持ちに整理がつけられず、苦しむスーを、

タイドは構い、助けてやろうとする。

しかし連絡先としていた電話ボックスの電話は鳴る事がなく、

母の死を機に、タイドは船乗りに転職、海にでる。


「食っていけなきゃ一緒に死ねばいい」


ふさぎこんでいるヨディを見て、

生活の面倒を見る、と言い出すミミ。

それを複雑な思いで聞いたヨディは、ミミを家から追い出す。


「幸せだった」


養母が、年配のアメリカ人と渡米するという。

わずらわしそうに聞いているヨディ。

この家をあげると言う養母に、ヨディは興味なさそうに笑い、

出て行くなんて許さないという。

自分の生活力を責められたヨディは

「食っていけなきゃ一緒に死ねばいい。望みどおりだろ」とつぶやく。

さらに、実母の事を話さない事を責めるヨディ。

養母はしぶしぶ、ヨディの実母の事を明かす。

しかしお前は望まれていない子供だったのよ、と釘をさす。

養母に送られた、実母からの手紙を読み、

ヨディはフィリピンに旅立つ決意をする。

これで何かが変る、そう信じるように‥。


「もう行くしかない」


ヨディは、幼友達のサブに別れを告げ、自分の車をやる。

そして香港には何も残さず、旅立っていく。

ミミにもスーにも話さないまま‥。

ヨディの突然の不在を知り、あちこち駆けずりまわって捜すミミ。

しかしヨディは見付からない。ミミは泣き崩れる。

そんな彼女を見かねて、サブはヨディの消息を話す。

彼は彼なりに、ミミを慰めようとするが、ミミの耳には何も入らない。

サブはそんな彼女の心中を悟り、車を売ってお金を作ってやる。

お金を渡されたミミは、彼の優しさにむせび泣いた。


「オレは母の顔を見たかっただけだ」


ヨディは実母の家にたどり着く

しかし実母は会ってもくれなかった。

家を後にする時、背中に人の視線を感じるヨディ。

「オレは母の顔を見たかっただけだ。

相手が見せないなら、オレも見せる義理はない」

そしてズンズンと、前だけを向いて歩いていく。

その背中には、怒りと虚しさとやるせなさと、

もう行く当てのない悲しさだけが滲んでいる。

彼はどこまでも歩いていった。

どこまでも‥。


「人間なんていつ死ぬか分からないんだぜ」


フィリピンの町で、酔いつぶれているヨディ。

お金も時計も盗まれるが、気にもしない。

そんなところを、船乗りになっていたタイドに助けられる。

翌朝、闇ルートでパスポートを手に入れようとするヨディ。

しかし相手を刺し、それがバレて逃走。

適当に電車に乗り込む。

その喧騒にタイドも巻き込まれ、一緒に電車に乗り込むハメになる。

愚痴るタイドに、はぐらかすヨディ。

しかし自分の事を真剣に怒ってくれるタイドに、ヨディは少し嬉しくなる。

電車で12時間‥。

途中、ヨディが一人になった時、

マフィアの一味に銃で撃たれる。

ヨディもタイドも傷を負いながら、電車に揺られ、いろいろと話をする。


「最後に見るものが何か知りたい。だから目は閉じない」


最後に何が見たいと聞かれ、困るタイド。

そんな彼に、人生は短いとヨディは話す。

汗をびっしょりとかき、顔色がどす黒くなっていくヨディ。

「オレは‥死ぬまで飛びつづける鳥の話を信じてた。

でも鳥は飛ぶ前に、もう死んでたんだ。

一番愛した女が誰なのか分からない。彼女は元気かな?」

「夜明けがきた。オレが死ぬ今日も、良い天気で終わるのかな?」

タイドはヨディが死ぬ前に、最後の質問をする。

「覚えてるか?去年の4月16日の3時に何をしていたか」

「あの女といた」

少し考えてヨディは答える。

「肝心な事は忘れない」

タイドがスーに、好意を寄せている事に気づいたヨディは

「あの日を忘れたって言っとけ。お前と彼女のためだ」

それきり、ヨディは静かに息を引き取る

その頃、ミミがヨディを捜しにフィリピンに現れ、

スーは約束の電話ボックスに電話をかける。

一人の男性(トニー・レオン)がフィリピンで出かける支度をしている。

これからミミと出会う予感を漂わせて終わる。


捜している最中は恐れを知らない。

ずっとそんなふうな愛だった。今まではそれでよかった。

でも今は、本当に疲れ果て、

ただ笑いながら酔って、酔いつづけていたい。


時は正直で、ウソをつかない。惑わすのはこの心。

もう輝きも失せた。別れる時、涙をひとつぶ落とす。

その後でまた会えるのか。もうそれっきり背を向けてしまうのか。



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